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身体運動の基本デザイン

歩行の最適性

歩く速度を速くするには、歩幅を大きくする方法と、脚運動の周期を短くする方法があります。動物は一般に、後者の脚運動の周期を短くする方法で移動速度を速くしていき、全速力に近くなると前者の歩幅を大きくしていく方法に切り替えることが知られています。本研究ではロボティクス的手法を用いて、一番疲れにくい歩き方を計算した結果、このような動物の歩き方の特徴をよく説明できることを示してきました。猫や馬などは、歩行速度によって脚を動かす順番(歩容)をウォーク、トロット、ギャロップと変化させていますが、このような変化がある速度で相転移的に起きることや、さらに、ヒトの歩行時の遊脚運動軌道もエネルギー最小化基準に基づいて説明可能であることも計算論的手法で明らかにしました。

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馬などの四足動物は移動速度に応じて酸素消費が少なくなる歩容を選択しています。
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ロボティクスの手法により、生物は消費エネルギーを最小にする歩行パターンを選択していることを示してきました。

主な業績

  • J. Nishii, Y. Hashizume, S. Kaichida, H. Suenaga, and Y. Tanaka. Constraint and exploitation of redundant degrees of freedom during walking. Robotics and Autonomous Systems, 60, pp. 679-684, 2012. doi: 10.1016/j.robot.2011.12.006.
  • J. Nishii. An analytical estimation of the energy cost for legged locomotion. Journal of Theoretical Biology, 238, No. 3, pp. 636-645, 2006.
  • 西井淳. 多足動物における歩行運動計画. 日本ロボット学会誌, 23, No. 1, pp. 17-22, 2005.
  • 西井淳. 動物の歩行戦略を探る. バイオメカニズム学会誌, 28, No. 1, pp. 8-12, 2004.
  • J. Nishii. Legged insects select the optimal locomotor pattern based on energetic cost. Biological Cybernetics, 83, No. 5, pp. 435-442, 2000.

リーチング運動の最適性

 手を伸ばしてコップを取るとき、手先をコップの位置までまっすぐ動かすことも 円弧を描くように動かすこともできます。その中から、ヒトは無意識に少しだけ湾曲した円弧のような軌道をとることがしられています。このような、手先を目 標地点まで動かすリーチング軌道の選択基準については、これまで計算論的脳科学の分野で様々な議論がされてきました。先行研究では、手先の軌道が滑らかさ に注目したジャーク最小化規範(Flash and Hogan,1985)や、関節 トルクの変化の滑らかさに注目したトルク変化最小化規範(Vno,.Kawato,Suzuki,1989)脳からの運動指令にのるノイズによる手先のブ レへの影響を最小にする終点分散最小規範(Todorov and Jordan,2002)などが提案 されていましたが、我々の研究では、歩行運動と同様に消費エネルギーの最小化(厳密には消費エネルギーの期待値最小化)規範でヒトのリーチング運動の特徴 を説明できることを示す研究結果を得てきました。

主な業績

  • 谷合由章, 西井淳. 肩関節による上肢到達運動の消費エネルギー期待値最小規範に基づく最適性. 電子情報通信学会論文誌, J92-D, No. 11, pp. 2044-2050, 11月, 2009.
  • J. Nishii and Y. Taniai. Evaluation of trajectory planning models for arm reaching movements based on energy cost. Neural Computation, 21, No. 9, pp. 2634-2657, 2009.