死の罠から「アクロバティック」に逃げるアリ

中学生の頃だったか,アリを捕まえようと庭に小さな穴を掘って,そこに飴の入った紙コップを置いておいた. 翌日,起きたら雨が降っていたので紙コップがどうなっているかを見に行ったら,案の定紙コップは雨水でいっぱい.

ところがその水面に直径1cm弱くらいの黒い団子みたいなものがコロコロと転がっている. よく見たらそれは蟻の塊で,近くにあった松の葉をその団子とコップの端に渡したら,ぞろぞろと順番に松の葉を伝ってコップの外へと歩いて行き,黒団子はきれいになくなった. アリは塊になって水面も転がれるのかとびっくりしたが,この記事によるとアゴ(大顎)でジャンプして天敵(蟻地獄)から逃げるのもいるらしい.

この研究を始めたヒトは,蟻地獄の穴からピョンと飛び出してきたアリを見て,どうやってジャンプしたのかを探ろうとしたのだろうが,小さなアリの大顎が高速に動く運動がジャンプの動力源であることを突き止めるのはかなり厄介だったはず. 以前,バッタの跳躍の様子を探ろうと撮影したら 200 fps (1秒間に200フレーム)の高速度カメラでもその様子をほとんど確認できなかったのを思い出して,記事の情報源になっている論文を見てみた.

論文の掲載サイトを見ると,アリを 700 fps で撮影しているが,その映像を見ても本当に動力源が大顎の動きなのかはよくわからない. もう少し読んでみると,大顎を糊付けして動かなくしたアリがジャンプするかを調べたらしい. 糊付けしようにもアリも動きまわるだろうにと思ってたら,氷で冷やして動きが鈍ったところで糊付け.1日たって元気になったところで実験.

もっとも,糊付けしたアリがジャンプしなくなっても,その原因が大顎を動かせなったためか,大顎付近が重くなってバランスが悪くなったためかがわからないので,大顎の動きは拘束しないように大顎の外側にノリを付けた対照実験も用意.さらにもう一つ,一度氷で冷やしたことで動きが悪くなっている可能性があるので,冷やすだけで糊付けはしない対照実験も用意.

アゴでジャンプするなんて移動方法を発見したアリもすごいが,そのことを発見した著者達も素晴らしい.