ビデオ講義の作り方
Khan Academy のまねをしてこれまで数十本のビテオ講義を作った。 何を使ってどうやって作ると良いか試行錯誤したので,そのメモ。
ビデオ講義作成のコツ
- 言い間違えても気にしない。できるだけ一発撮りですます。
- 編集はできるだけしない。
- 長いビデオをいくつか作るのではなく,短いのをたくさん作る。(撮り直しや編集が必要になった時に楽。見る方も楽)
- 講義よりも少し早めに話す。ビデオ講義では,教室での講義と同じペースで話すとどうも間延びする。 プロの演奏家から,CD録音とライブ演奏では間の取り方を変えると聞いたことがある。 ビデオ講義と教室での講義にはそれぞれ長所短所があるが,その相違点もCDとライブの違いに似ている。
1. プレゼン用スライドに音声をかぶせたビデオの作成方法
KeynoteでもPowerPointでも簡単にできます。
方法1: Keynote でつくる
スライドの作成後,メニューの再生/スライドショーを記録
を押して,あとは普段の講義のようにべらべら話すと,音声とスライドのムービーの出来上がり。
マウスポインタの位置を記録できないのが残念。
マウスポインタも収録したい場合は,後述の"iPadでつくる"や,“Macで作る"を参照。
方法2: PowerPoint でつくる
- スライドの作成後,メニューの
スライドショー/スライドショーを記録
を押して,あとは普段の講義のようにべらべら話せばok。 - ビデオ形式(mp4/mov)でエクスポートする方法は以下参照
- Windowsの場合
- Macの場合
- 注意: Office for Mac 2016の場合は,ビデオのエクスポートができない。おまけに,録音した音声が一部再生されないこともある。それで困ったことがあるが,Keynoteで読み込んで,再生・ビデオ出力が成功した(スライドレイアウトの若干の手直しは必要)。
2. 黒板に字を書くようなスタイルのビデオ作成
Khan Academy のようなビデオを作る方法。
2.1 iPad 単体でつくる(iPadで作る, お勧め)
iPad ProとApple Pencilがあると黒板に書きながら話すようなかんじで簡単にビデオ講義を作れる。
- iOSの画面録画機能を利用する方法
- 好きなお絵かきアプリ等でいろいろ書きながら,べらべら話せばあっという間に出来上がり
- iOSの画面録画方法はこちら
- 専用アプリを使う。おすすめは以下。
- Explain EDU: 書き込みながら録画するだけでなく,録画ビデオの編集もできる。良い間違えたら一旦そこで停止して,少しだけ巻き戻して続きを録画するといった手順が,簡単にできる。これで1720円(2020/5/14)。素晴らしい。
- Vittle: 2016年頃に1000円強くらいで買って,2020年5月まで使っていた。録画機能付きのホワイトボードアプリとしては,Simple is the bestという内容で,一時停止したり続きを録画したりも出来る。ただ,少しバグがあるせいか使っているiPadが古いせいかはわからないが,出力動画の音声データが少し変になることがある。上記のExplain EDUがいつの間にか登場していたので乗り換えた。
2.2 Macでつくる
こちらは,MacをペンタブレットかiPadと接続し,Mac用のアプリを使って収録する方法。 iPadの接続はSidecarを使うと良いが,USB接続しておくだけでペンタブレット代わりに使えるアプリもある(後述)。 タブレットを使う場合は,画面なしのタブレットで字を書くのは結構辛いので,液晶タブレットが望ましい。
準備
- ペンタブレットのペンのボタンを無効にしておく。
- 字を書きながらうっかり押したとき,メニューやら何やら出てくると,ビデオ講義の画面が無駄に賑やかになるので。
- ペンタブレットの画面に,メニューバーやらドックやらが表示されないようにしておく。
- Macの場合は「システム環境設定/Mission Control」にある「ディスプレイごとに個別のワークスペース」のチェックを外しておく。
- インターネット接続は切るほうが良い。がんばって録画中の画面に「スパムメールのお知らせ」とか出てくるとショックなので。
方法1: ZOOMなどの会議アプリでつくる
ZOOMなどの録画機能のある会議アプリを使い,一人会議をしながら録画すればOK。
- 液晶タブレットの画面や,接続しているiOSの画面を画面共有先にすれば,好きなアプリ上でいろいろ書き込みしながらプレゼン動画を作れる。
- ZOOMのホワイトボードモードを使うのもよい。
方法2: Ink2Go でつくる
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Ink2Go : 画面に表示しているものにいろいろ書き込みをできるソフト. 同様のソフトをいくつか試した中ではペンが書きやすく,ショートカットも使いやすかった。録画もできる。
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良い点
- ペンが書きやすい
- キーボードショートカットで, ペンの切替等の操作をできる
- 動作が軽い
- デスクトップにホワイトボードを表示することもできる
- お手軽に,画面上に書き込みながら録画をできる
- 講義時にスライドを見せながら書き込みをするのにも使える
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残念な点
- ホワイトボードを表示しながら「録画」を開始すると,何故かホワイトボードが消えてしまうので,あわてて再表示(
Cmd-o
)しないといけなくなる。 - Mac OS Xのメニューバーも録画させてしまう(メニューバーを録画したいこともあるだろうから仕方ないけど)
- 画面全体を録画しても,なぜか少しだけ小さなサイズになる。例えば,1080pの画面を録画すると,1916 x 1076 のサイズになる。
- ホワイトボードを表示しながら「録画」を開始すると,何故かホワイトボードが消えてしまうので,あわてて再表示(
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使用上の注意
- “Preferences"の"Application/General"の"Show text annunciation"は無効にする。有効のままだと,ペンの切替等の情報が画面上にでかでかと表示されてしまう。
方法3: Camtasia でつくる (お薦め)
準備するもの
- Camtasia: ビデオ編集ソフト. 画面録画機能や,インタラクティブなクイズの作成機能もある。 youtubeなどへのアップロード機能もある。ビデオの継ぎ接ぎも簡単にできる。
手順
- 手書きが面倒なものなグラフや絵などは keynoteなどでで作っておく。
- keynote で必要なものを表示する。(iPad側で表示して,それを録画対象としても良い)
- Camtasiaで録画
- 録画のアスペクト比は16:9, 解像度は少なくとも720pにするのがおすすめ
方法4: OpenSankore/OpenBoard でつくる
iPad Pro + Apple Pencil + Vittleに落ち着く前は,フリーのホワイトボードソフト Open-Sankore を使って,Mac+ペンタブレットでビデオ講義を作っていた。
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良い点
- ビデオ講義を簡単に作れる統合環境になっている
- Windows/Mac/Linux で使える
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残念な点 (Mac版のver 2.5 および 2.0以外では未確認)
- 使っているとだんだん重くなってきて,字をかけなくなってくる
- 録画したはずの内容の終りのほうが記録されていないことが時々ある
ただ,GitHubのページを見てると,すでに開発は止まっているみたい。 Open Sankoreから派生したOpenBoardというのがあるらしく,今使うならこちらだろうが,まだ使ったことはない。