学習モデル・チーム

コツを発見・学習する神経回路網モデル

重要な情報を抽出し,適切な行動・運動を決定する学習理論

現在インターネット上には莫大な情報があり,その中から目的に応じた意味のある情報を取り出すデータサイエンスの研究が世界中で活発に行われています。 脳も,全身にある莫大な数の感覚センサから送られてくる情報の中から重要な情報を時々刻々と判断し,適切な行動や運動を学 習・実行しています。 このような脳の情報処理プロセスを解明する理論的研究は,現在のデータサイエンスの発展に大きく貢献してきました。 本研究室では,脳が重要な情報を発見する学習プロセスに着目した理論的研究を推進しています。

スキルを発見する神経回路モデル

スポーツや楽器の演奏などの様々な運動学習をするとき,脳は全身からの様々な感覚刺激の中から,目的とする運動を遂行するために重要な情報を巧みに抽出します。 このような運動スキルの獲得を行える神経回路モデルの構築をすすめています。

身体の物理特性を活用した運動学習モデル

人の脚にはアキレス腱があり,これが走るときにはバネとして働きます。 また,人の脚と同じ長さの振り子をぶら下げると,ヒトが歩くときと同じくらいの周期で揺れます。 このような脚の物理特性が,楽に歩いたり走ったりするのに有効に働きます。 このような物理系と神経系が相互に影響し合いながら,歩行運動を学習する学習制御モデルの構築を行ってきました。

神経振動子結合系の学習理論

神経系は様々な振動パタンや時系列信号を自ら発生することができ,このような能力が時系列データの処理や運動のための信号生成に重要であることが生理学的研究や理論的研究で示唆されてきました。 そこで,このような動的な神経素子結合系に対する学習モデルの検討を行ってきました。

利他行動の進化

ダーウィンの進化論によると,他個体よりもより多くの餌を取り,より多くの子孫を残すことができるような生物が,その環境で生き残ることになります。 しかし,このように考えると他個体に利益を与えるような利他行動の存在の説明が難しくなり,この点についての議論はダーウィン以降,現在も続いています。 そこで,本研究室ではシミュレーション実験等によって,利他行動が生存に有利になるのはどのようなときかを検討しています。